ギター自作その5「ヘッドネックシェイプ・ブリッジテールピース・ナット溝切りなど」

■目次

ギター自作その1「計画・準備・材料調達」

ギター自作その2「ボディ切り出し・トラスロッド仕込みなど」

ギター自作その3「フレット溝切り・ナット切り出し・指板接着など」

ギター自作その4「指板整形・フレット打ち込みなど」

ギター自作その5「ヘッドネック・ブリッジテールピース・ナット溝切りなど」  ←今ここ

ギター自作その6「ピックアップの自作」

ギター自作その7「フィルムコンデンサの自作」

ギター自作その8「ピックガードやノブの製作・キャビティの座繰り」

ギター自作その9「仮組み・ボディ塗装」

ギター自作その10「ピックガード塗装・シールディング」

ギター自作その11「蜜蝋ワックス塗布・組込み・完成まとめ」

ギター自作その12「完成写真」


 

ヘッドを仕上げていこうと思います。ヘッド両側面になんとなくのカットラインを引きます。ネックに仕込み角が設けられないのは弦のテンション面で不安が残るので、せめてヘッドには角度を付けます。斜めですし曲線もあり、この辺はもうフリーハンドです。これくらいの角度でいかがでしょうか。

 

 

この厚さをヤスリなどで削ろうとすると気が遠くなるので、思い切ってのこぎりで切ってみようと思います。

 

 

一番最初の木材の切り出しの際に自身のノコギリ技術の未熟さに絶望しましたが、そのおかげもあって随分慎重に切ることが出来ました。

 

 

斜めの切断も巧くいきました。

 

 

ノコヤスリで表面をガリガリと削っていきます。

 

 

大まかにヘッド表面を平面にできました。

 

 

ヘッド裏側もノコギリで薄くします。

 

 

こちらも無事に切れました。ネックの強度を保つためのボリュート部分は余分に木を残しておきます。

 

 

裏と表、そして側面も削って大まかに整えました。

 

 

削ったヘッドに定規で線を引き、ペグ取付用の穴開け位置を決めます。

 

 

ヘッドが分厚いので今回用意したGOTOHのペグが取り付けられません。しかし堅牢さと音質(この辺りは予想)的な面でヘッドはこれ以上薄くしたくないのでダイソーの平べたドリルでくぼみを付けることにしました。

 

 

その後ペグ用に10mm穴を開けます。

 

 

ペグを取り付けようと思いましたが、ふんだんに盛った裏側のボリュートに当たって取付できません。この後のネックシェイプ工程で削ることにします。よってペグは後回し。

 

 

かなり余裕をもって分厚くしてあったネックのシェイプを整えます。手持ちの工具ですとトリマーで削るのが良さそうですが、これまでのハプニングを思うとトリマー使用は避けたいところ。ですが作業速度の魅力に負けてトリマーで削る覚悟を決めました。MDF板の端材の直線をガイドにし、コロ付き10mm径ストレートビットで削ります。

 

 

試しにちょっと削ってみたのですが、何度やっても恐ろしい振動と音。削るはずの木材も、たまに割れてふっ飛んできますので肝が冷えます。

 

 

ある程度まで削りましたが、よく見るとガイドごと削ってしまっています。少し余裕を残して削っていてよかった。

 

 

反対側からも削りました。もうこれ以上は恐ろしくて不可能ですので、トリマーはお終い。

 

 

ここからはノコヤスリでガリガリと削っていきます。以前の真空管アンプ製作でも思い知りましたが、このノコヤスリという工具は本当に素晴らしいです。ノコギリの刃を網目状に組み合わせた超粗目のヤスリで、どんなに硬い木も見る見るうちに削れていきます。あまりに削れ過ぎるので、たまに素手で調子に乗っていると指の肉も削ってしまいます。

 

 

トリマー作業などは緊張感で好きになれませんが、ノコヤスリ作業は本当に楽しいです。木の形を自在に整えている感じ。何度もネックの握り心地を確かめながらシェイプを整形していきます。

 

 

ノコヤスリの他にもスクレーパー等を駆使して随分綺麗になりましたが、トリマーで削り過ぎてしまった部分が凹んでいます。ただこれは最後の全体シェイプ最終整形の際に消せると信じて、とりあえずのネックシェイプ粗削りは終了とします。

 

 

ヘッドのシェイプも大まかに作れましたのでペグを取り付けます。巨大に盛り上がったボリュート部分が非常に頼もしいですね。

 

 

ペグのような機構部品を取り付けるとグッと本物のギターらしくなります。これだけで若干の達成感があります。

 

 

続いてテールピースの作成に入ります。先日製作したマホガニー製テールピースの反省を踏まえて、とても硬いエボニー材で作ることにしました。

 

不要部分の指板材を2枚張り合わせて厚みを出します。接着はもちろんタイトボンド。

 

 

クランプで思いっきり圧力をかけます。

 

 

24時間以上放置して、テールピースの形を白色鉛筆で書き込みます。ピックガードのデザインに合わせて若干の流線型を取り入れてみました。

 

 

糸鋸盤で大きめにラフカットし、そこからヤスリで形状を整えます。なんとなく目標の形になりましたが、やはり不得意な糸鋸盤で切り過ぎてしまい、凹んでしまっている部分があります。糸鋸盤の技術が向上する気配がありません。

 

 

先に弦を通す穴を開けておきましょう。穴を斜めに開けたいので下に白色鉛筆を挟んで台座を若干斜めにしています。非常に不安定でハラハラしました。ただこの工程で斜めに穴をあけたことをのちのち後悔することになります(後述)。

 

 

テールピースのスタッドを取り付ける箇所にドリルで下穴を開けておきました。

 

 

スタッドの頭が入るように平べたドリルで座繰ります。

 

 

今度は穴の一部分を切り開いてスタッドが入るようにします。写真がありませんが、この直前にノコヤスリやサンドペーパーで形を滑らかに整え、表面に光沢が出るまで研磨しております。前回のテールピース製作時にはここで木を折っているので細心の注意を払います。

 

 

細心の注意を払っていても、やはり技術が無い人間が行うとこうなります。見事に折れてしまいました。これは取り返しがつかない事故です。久しぶりに絶望に飲み込まれ、1時間ほど意気消沈しました。

 

 

しかし気持ちを切り替え、この破損を活かす道筋を考えました。この割れた穴にスタッドをはめて、その上から木を接着して修復するのです。そうするとテールピースとスタッドが分離できなくなりますが、それもまた良いのではないかと。

 

というわけで反対側の取り付け穴も人為的に折ります。緊張の瞬間でしたが、綺麗に折ることができました。

 

 

こちらも同じくスタッドを取り付けた後に木を接着し、見事にスタッド一体型テールピースが完成しました。このスタッドはテールピースを破壊しない限り取り外せません。

 

 

ボディトップにテールピース取り付けのためのブッシュを挿し込む穴を開けます。ネックからの取り付け距離は厳密には計測せずに目分量です。ブリッジから良い感じの距離を開けてなんとなく決めました。そこに定規で中心線に対する直角線を引き、センターポンチでブッシュ穴あけ位置を決めます。テールピースにスタッドを取り付けてしまっているので、その間隔通りに穴を開けないと取り返しがつかないので慎重に測ります。

 

 

ドリルビットに深さの目印としてテープを巻き、穴を開けます。

 

 

ブッシュ直径は実測11.8mmでしたが、11mmドリルしか手に入りませんでした。穴がキツいのでかなりの力で叩いて押し込みます。ボディが割れたりしないかとても心配。

 

 

テールピースの弦通し穴を斜めに開通させたことは前述しましたが、それによりテールピースを最大限に低くしなければならなくなりました。ネックに仕込み角が付けられないので、ブリッジの高さが著しく低くなるためです。それよりもテールピースを低くするとなると、ボディトップよりも深くブッシュを打ち込まなくてはいけなくなります。またしてもダイソーの平べたドリル(13mm)が活躍し、ブッシュを深く打ち込むことに成功しました。

 

 

テールピースを取り付けます。テールピースがボディに触れており、これ以上低くすることはできません。弦通し穴を斜めに開通させず、低い位置で真っすぐ開けていればもっと調整幅に余裕があったのに。不覚です。まあテールピースがボディに密着することで弦振動的に有利になったと思っておきます。

 

 

なんとなくの位置にブリッジをあてがって、仮で弦を張ってみます。

 

 

1フレットの部分に、ナット溝切り用の線を印刷した紙を挟みます。ナットの溝は各弦7mm間隔にしました。わりとポピュラーな弦間隔のようです。

 

 

通販で購入したHOSCOのナット溝用ヤスリで溝を切ります。普段ゲージサイズは10~46しか使わないのでそれに合わせたヤスリを選びました。ヘッド側に向かって下がっていくような角度で溝を切らないと解放弦のチューニングが安定しないので慎重に。

 

 

ナット溝の深さはどれくらいが良いのかサッパリわからなかったので、後で修正できるように、弦が落ちない最低限の深さにとどめておきました。

 

 

ブリッジのサドル(駒)を可動範囲の中心にセッティングし、ブリッジ自体を動かしてオクターブチューニングを合わせます。机上の数値でブリッジ位置を決めず、実際にオクターブチューニングが合う個所でブリッジ位置を確定するべきだと考えたためです。オクターブチューニングを合わせてみるとブリッジ位置が全体的にズレているギターって意外に多いですからね。

 

 

こちらはオクターブ調整済みの「アーティラート」のブリッジ。サドルが全体的に随分後ろに来ているので、そもそものブリッジ取り付け位置がネック寄りであったことがわかります。本当ならば3~4mmくらいブリッジを後ろに付けるべきですよね。きちんと実測でブリッジ位置を決めないとこうなる、というわかりやすい例です。

 

 

ブリッジ位置は決まりましたが、ブリッジの高さを最低にしてもまだ弦高が高いです。そのためテールピース同様にブリッジのブッシュもボディ表面よりも深く打ち込む必要があります。そうなるとブリッジの下部がボディに当たって低くできないので、ブリッジ自体の底面を削ることになりました。

 

 

無事にブリッジも削れたのでブッシュ取付穴を開けます。先ほどと同様にダイソー平べたドリルで座繰り、ブッシュとスタッドを深く打ち込めるようにしました。

 

 

バッチリ深く取り付ける事が出来ました。

 

 

ナットとブリッジ間に弦を張り、かつフレットもあるという事はこの時点で演奏することができます。演奏することができるという事は、この物体はもうギターと呼んで差支えないということ。ついにギターが生まれました。まだアンプにつなぐことができませんが、生音でかなり弾き込みました。ものすごい鳴りとサスティーンです。さすが継ぎ目のない一枚板ですね。

 

 

この後はピックガードや電装関係等に進みましょう。

 

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