■目次
ギター自作その2「ボディ切り出し・トラスロッド仕込みなど」 ←今ここ
ギター自作その3「フレット溝切り・ナット切り出し・指板接着など」
ギター自作その5「ヘッドネック・ブリッジテールピース・ナット溝切りなど」
ギター自作その8「ピックガードやノブの製作・キャビティの座繰り」
さてさてメイン木材が用意できたのでギターの形に切っていこうと思います。ネットオークションで4000円で購入した卓上糸鋸(イトノコ)盤でボディ&ネックの外周を大雑把に切り出します。念のため替え刃を2種類購入しておきました。初めての糸鋸なので、先ずは材の端を切って感触を調べます。
なかなか難しく、細目刃では断面がぐにゃぐにゃに歪んでしまいました。木が非常に硬いからかも知れません。そして木の粉が目に入りまくって大変なことになったので、石鹸づくりの時に使っているゴーグルとマスクを装着しました。
硬い木用の極細目刃で再挑戦しましたが、やはりまったくだめでした。刃が上下に若干の弧を描いて動くので、厚い板を切るとどうしても切断面が弧を描いてしまうのと、単純に糸鋸の動かし方に慣れていません。どんどん変な方向に進んでしまいます。慣れに関しては頑張って練習するとしても、厚さ40mmの板は糸鋸では無理ですね。調べてみると糸鋸盤というのはもう少し薄い板で細工を切るのに使うべき工具だそうな。くっ、知りませんでした・・・。
念のためテンプレート用に購入したMDF板で糸鋸盤の練習。
これは酷い。
真剣にやってこれです。糸鋸盤を使うことは諦めました。ピックガード製作の時に頑張って練習する事にします。
調べてみると卓上ハンドソーというものがあるそうな。ギター自作動画にも結構登場する機械ですね。しかし自宅には大き過ぎますし、今すぐ欲しいからホームセンターで買えるものが良い。さらに調べてみると、ジグソーという機械が使えそうです。バイクに飛び乗って取り扱いのあるホームセンターで買ってきました。
なかなか良さそうです、ジグソー。念のため、先ほど台無しにしたMDF板で試し切り。無作為に曲線を描いて、それに沿って切ってみます。これならいけるかも知れません。
次にギター材の硬さでも上手く切れるか材の端で試し切り。糸鋸盤よりはだいぶマシのようです。
使いやすそうな作業台も新たに購入しましたので、それでは思い切って切り出してみましょう。木を固定して一息に切っていきます。曲線用の刃や、ステンレスでも切れる鋼材用の刃などを取り換えながら、順調に切っていきました。木に描いたレイアウト線の若干外側(1~2mm)を切り進めます。とても硬い木ですので、切断時にジグソー刃との摩擦で焦げたような匂いがするのですが、その匂いがとても良い香りというか、良い薫りで、なんだか美味しそうでした。何度も嗅いでしまいます。
ギターの形になりました。
しかし調子に乗って一気に切った代償もありました。切り終えて確認したら切断面が斜めになっている箇所がありました。
一番参ったのはネックの切断面が斜めになっていたこと。幸いネック裏側にかけて細くなっているので、どうせシェイプ形成の際に削ると思えば気持ちを切り替えられます。たぶん。
ボディバック(裏)の節のようなものは切り出しの際に剥がれました。
予想よりもジグソーの扱いが上手くいったので、勢いに乗ってネックテンプレートも切り出します。
と思ったらグニャグニャになってしまい、線の内側を切ってしまったりして1発アウトでゴミにしてしまいました。この時点で、今回は一切テンプレートを作成せずにギターを作ることを心に決めます。
設計図のネック部分を切り取り、それに合わせて線を引きます。この後の様々な作業における基準位置の判別に使います。
次にトラスロッドを用意。トラスロッドとは完成後に発生するギターのネックの反りを修正するための道具。初めてのギター製作のため何が起るかわからないので、トラスロッドは順反り・逆反り両方に効く「2wayタイプ(バイフレックスタイプ)」にしました。多くのロッドはたわませた状態で溝に入れるので、湾曲した溝を掘らなければいけないのですが、それは設備的・技術的に無理ですので、ストレートの溝で収納できるタイプを選びました。まっすぐの溝を掘るだけで良いという優れもの。色々探した結果、福井県の有限会社タツタ様で製作して頂きました。在庫は無いようで、注文を受けてから製作するスタイルだそうです。サイズも自由指定だったので全長450mmで製作して頂きました。材質はβチタンでお値段4800円とリーズナブル。メールで問い合わせ、発注して3日くらいで手元に届きました。早い。
ロッドの中点に印をつけます。
可動部分(440mm)の中点ですので220mm箇所になります。
ネック部分の中点にも印をつけます。0フレット(ナット)と最終フレット(本器の場合22フレット)の中点で、大体8フレットあたりですね。
トラスロッドを一番効かせたいポイントは大体7~9フレットあたりが一般的だそうです。今回は何となくネックの中点に設定してみました。
置いてみます。
ロッドを時計回りに回すとこうなります。
反時計回りに回すとこうなります。ちゃんと動きを確認すると頼もしいですね。
5000円くらいで電動トリマーという工具を購入したので、それを使ってトラスロッドを収納する溝を彫ります。しかしこの工具も初めて使うので適当な端材で練習が必要です。全体の精度に関わる部分ですので、トラスロッドの位置は最大限に慎重に処置したいですからね。彫ってしまった穴は取り返しがつかないので。
まずは溝の深さ確認。ロッドの縦が9mmですので、深さ9.1mmならばいい感じ。
ほら練習してよかった。線と大幅にズレています。
もう1度慎重にやり直して直線の溝を掘ることに成功。
試しにトラスロッドを入れてみます。キツいけれど溝幅6mmでジャストサイズです。
それではついに本番。ネックにトラスロッド用の溝を掘ります。まずは切削をスタートさせる穴を開けます。
そこにトリマーのはを入れて準備OK。
ストレートエッジや定規をクランプで固定してトリマーの線路を作ります。絶対に直線からブレないように何度も確認して慎重に確かめます。
覚悟を決めるまでずいぶん時間がかかりましたが、意を決して掘り進めます。ヘッドに淡いシミが付着していますが、油断した際の流血です。回転中のトリマーの刃に指が触れれば、一瞬で肉が消し飛びますのでかなり用心していたのですが、トリマーとは全然違うところに引っ掛けて皮が剥けただけです。
どうにか真っすぐな溝が掘れました。
ロッドの回転部分は段が付いているので1段浅い溝を足します。この向きで入れることによって、通常のロッドと逆向きで効くようになってしまいますが自分専用のギターですので問題ありません。
あまりにジャストサイズ過ぎてロッドがキッツキツだったので、紙ヤスリでこすり何度も確認しながら少しずつ溝幅を広げます。
無事にトラスロッドを収納できました。
こちらはヘッド側から見た図。
次は個人的に最も重要視するピッチの精度に関わる指板部分など。緊張します。
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