ERGOピック

普段愛用しているピックの話をここに記録致します。

 

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ESPによるERGOピック紹介

 

このピックは「ERGOピック」と言いまして、2012年辺りにESP開発室の林大先生が試行錯誤の上に作り上げた逸品です。ちなみに林大先生というのは私の愛器「グランドリオン」を作って下さったギタービルダーであり、世界一のギタークラフトブランドESPの頂点に君臨する大職人様です(多分)。

 

一般的なピックと言えばティアドロップ型とオニギリ型と呼ばれる2種類がありますが、そのどちらともかけ離れた形状のこのERGOピック。ERGOというのは「人間工学の」という意味の「ergonomic」から来ているんでしょうね。握りこんでみるとホールド感がガッチリとしていてスゴい安心感です。普通のティアドロップ型の2倍くらいの大きさがありますからね。当初はベーシスト用に考案されたそうで、三味線のバチのようにベースをベンベンと叩き弾くイメージだったそうです。確かに。

 

しかしギターに使ってみると意外や意外。激しいストロークから細やかなソロまでこなせるピックでした。もちろん慣れるまではぎこちないですが、個人的には数日で慣れたような気がします。大体の人が初見で持ち方を誤るのですが、こう握るための形状です。

 

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高校を卒業してすぐにアルバイトをしていたカラオケ店で、そこの社員さんがギターを弾く人でした。今思い出してもかなりのテクニックを持つギタリストで、しかも流行のバンドなどには傾倒せずに、50年代から現代までロックの歴史を全て辿ってきたような音楽の趣味を持つタイプの人(プレイスタイルも服装もスティーヴィー・レイ・ヴォーンのコスプレイヤーのようでした)。その人が一時期、頼みもしないのにギターを教えてくれてですね、その際にピックの正しい持ち方などを指導してくれました。

 

そもそもエレキギターに正しい弾き方も奏法も無いのでしょうけれど、ジミヘンドリクス等の歴史に残る偉大なギタリストたちのプレイスタイルやピックの持ち方を色々と教えて貰って驚きました。速く弾く人や巧い人はピックを深く持ち、ピックの先端が少しだけ出るような持ち方をしており、それまではそれが正しいと思っていたのですが、歴史に残る偉大なギタリストたちのほとんどがそれとは逆に、ピックを浅く持っているんですね。

 

実際に映像などで確認してもその傾向が見て取れ、確信へと変わりました。また、上手くなればなるほどピックの厚みは薄くなり、薄いピックでパリっと細かいニュアンスを表現する人が多いんだとか。調べてみると確かにそうでした。ただ薄いピックを浅く持って綺麗に弾くのって、凄く難しいんですよね。でも明らかにその方がはじけるような綺麗な音が出るんです。

 

初心者だったり余りお上手でないギタリストほど分厚いピックを深く握りこんでいるのを多く見かけますが、恐らく綺麗な音を捨ててプレイのしやすさに走ってるんでしょう。ギターを始めたころはみんなそうです。まあ速弾きテクニカル系ギタリストはかなり巧い人でもピックを深く持っていたり、最近流行の極厚系もありますので、それは除きましょう。

 

そんな経験を経て、0.73mmの黄色いティアドロップを浅く持ってギターを弾くプレイスタイルになっていました。フェンダーやPlanetwavesやJimdunlopで同じような黄色いピックがありますよね。厚さも0.7mmだとか0.72mmとか、近似値で色々売られています。何故だかあの厚さはみんな黄色なんですよね。値段もサウンドハウスなら20円とか30円で非常にリーズナブル。100円で角が3回使えるからオニギリ型が良い!と言う人も多いですけれど、それよりも安いです。

 

永いこと黄色いピックで過ごしてきたところに、このERGOピックとの出逢いがありました。見ての通りデカいので、自然と指から出る部分が大きく広いです。ティアドロップ型を浅く握った時と同じくらいです。にもかかわらず、ピックがデカくて握りこめるのでティアドロップよりも安定感があります。私は0.7mmのERGOピックを使っています。

 

まあギタリストの数だけピックの好みがありますので、あくまで一例として参考になれば幸いです。ナイロンのERGOピックもありまして、アコースティックギターのレコーディングでピッキングのアタック音を抑えたい時などに非常に良いです。

 

ちなみにこのERGOピックでオリジナルピックを作ったのは私が世界初だそうです。2012年10月から使用しておりますが、今では普通のピックでは弾けなくなってしまいました。ティアドロップ型なんて小さすぎて不安になります。今現在ESP直営店店頭でも見かけないので、商品化は大々的にはされていないのかも知れませんね。ただ店員さんに申し出れば奥から出して売ってくれるとか。