ABボックスと言えば、世間では音の出力先を切り替える装置であるとの認識が大勢を締めています。今回製作したのは、入力を切り替えるABボックスです。もちろん、出力切り替えABボックスのインとアウトを逆につなげば事足りるのですが、ペダルボード内でのレイアウトや精神衛生上、新たに入力切替用の物を作ることとします。
自分のステージでは楽器を持ち換えることは皆無なのですが、サポート現場となりますと複数本のギター持ち換えが発生する事がほとんどです。ワイヤレスシステムを使えば、電子的に入力を切り替えられるのですが、私はワイヤレスがあまり好きではありません。シールドケーブルに繋がれていたい派です。
となると、スムーズに楽器を持ち換えるために入力切替ABボックスが必要になってくるわけです。ABボックスを踏めばこっちのギターの音が鳴る、そしてもう1度踏めばもう1本のギターの音が鳴る、という具合です。
早速、来たる7月のステージの為に入力切替ABボックスを製作いたしました。
ABボックスはそもそも機能と呼べるものも無いので、小さいほど良いとされがちです。しかし、踏んだ際の安定度を考慮すると少し大きなケースが良く、また今回のペダルボードレイアウトを考えると高さのあるケースが望ましいです。
そこで自宅のジャンク箱を漁ってみると、音楽誌GiGSでエフェクター自作講座記事を連載していた時のプリアンプが出てきました(2005年の製作記事で紹介した個体)。丁度いい大きさなのでこれを使ってしまいましょう。
回路類は全て廃棄します。スイッチやジャック類など流用できそうなものはそのまま使ってしまいましょう。
一度部品をすべて外しました。
除光液でサインペンでの書き込みを消します。
新たな穴を開けたり、既に空いている穴を利用したりして、必要部品を取り付けます。部品を装着せずに空いてしまっている穴は、不格好なので塞いでしまいたいですね。
銅箔テープを数枚貼って穴を隠しました。この程度の穴でしたら気にしなくても良いとは思いますが、ノイズ対策的シールディング観点からも銅箔は適していると思いたいです。
銅箔だけでは強度に不安があったので、無理やりハンダを盛って固めておきます。これで破れません。
ケースからのジャックの飛び出しをなるべく軽減したかったので、フットスイッチのプラワッシャーを重ねて取り付けます。
先にLEDや電源類を配線。
次に信号経路を配線。
お馴染みのエポキシ接着剤で硬化固定。よくよく考えれば、穴部分もエポキシ接着剤で埋めてしまえばよかったですね。
完成しました。
ペダルボードに設置するとこんな感じ。
赤いLEDが点灯しているときは、上のジャックに接続されたギターの音が出ます。
青いLEDが点灯しているときは、下のジャックに接続されたギターの音が出ます。
私の著書内のABボックスの入出力を逆にしただけの簡易的な実態図ではありますが、こんな感じです。大きめのケースで踏んだ際の安定感もばっちり。ペダルボード内の設置場所や、自分の用途にぴったりの部品レイアウト。これでまたお仕事が楽になります。